京都行。〜言ってみるだけならタダなんです〜


 ここ1ヶ月ぐらい、京都に行きたいなあと思う事柄が多かった。
 けど、相方さんの休みは不定期だし、なによりもわたしが行きたいとこに行っても興味がないに違いない……。
 と、そう思っていた3月も20日をすぎたころ。
「金沢から京都まで高速バスで往復6600円だって。安いなあ」
 仕事から帰ってきた相方さんが、そんな情報をぽろりと口にした。
 なんだか、こちらの心の内を見透かされたようなオハナシだ。……もちろん、そんなことはなくて、相方さんは仕事柄、そういう方面の話に敏感なだけなのだけども。
「へー、それはスゴイ。んじゃ、ウチからでも結構安く行けるねえ」
「そーなんだよ、1万円以内で行けるね」
 いちまんえん。
 魅力的な数字だ……。
「(電車で)特急使ったら片道分にもならんな、1万円じゃ。バスは頑張るなぁ。汽車も少しは見習わな」
 と相方さんはブツブツ。
 まあ、電車とバスの利点というのはそれぞれ違うから、一概に比較はできないところ。この季節で電車なら「青春18切符」というテもあって、それなら安い。けど、時間はかかるし、5枚つづりとなっている以上、日数か人数が多くないと損だったりしてなかなか難しい。それに、あの切符は目的地がどーんと決まっていて、そこを満喫したいの! という時には向かないだろうと思う。
 それはとにかく、わたしは相方さんにさりげなく言った。
「京都……行きたいんだけどねえ」
「なんで? なんかあんの?」
 きかれて、行きたい理由を述べてみる。
 言うだけならタダ。
 話を一通りきいた相方さんは、次の瞬間、こう言った。
「じゃ、行ってきたら」
 ……こうして、京都行きはものすごくあっさりと決定した。

 ただ、ちょっとした誤算が発生。
 高速バスの切符だ。
 最初は夜行バスで行って、着いたその日にぐるぐるし、また夜行バスに乗り込んで帰ってくる、という強行スケジュールを計画してみた。
 ちょっと無謀かな、と思った。
 案の定「それはすごく疲れると思う」という話になって、昼間の高速バスで行って、泊まって、次の日の夜行バスで帰る、ということにしてみた。
 で、バスの往復切符を買おうとしたら、
「それはできません」
 ……何故っ!?
 それは「金沢⇔京都」という夜行バスはないから。
 ?? と疑問符が浮かぶような理由なのだが、なんのことはない、夜行バスは「富山⇔大阪」便なのだそうだ。その途中で金沢や京都に停まりますよ、と。
 昼間の高速バスは「金沢⇔京都」便。
 つまり、同じ便ではないので、往復割引はないと……。ががーん。
 じゃあ昼間の「富山⇔大阪」便に乗ればいいんじゃないかと思うけど、昼間の便はないんだそうだ。
 ――なんだか出鼻をくじかれたなぁ。
 ということで、正規のお値段で買ったら、交通費は結局1万円をオーバーしてしまった。
 なんとなく納得がいかないわたしに、相方さんが言った。
「安いから行くってわけでないんでしょ」
 ……いや、でも、決定する時のウエイトはかなり大きかったんだけどね。
 まあ、でも行けるのだから、なにも言うまい。京都だ!






京都行。〜1日目〜

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