短歌
水族の記憶を持ちて水を飲む永く地上をさまようヒトも全部読む
連作
透きとおる木々の向こうに見えざれば冬芽のために口笛を吹く
七音のアルペジオさえくぐれたら僕のからくりを解いてください
夜が明けてひだりの耳をすましたらねむりの鍵が開く音がして全部読む
傷口は膜の中身をのぞく窓 水辺に吐露した孤独な影を
幾重にも隔てられおり生き物の鼓膜に届くゆがんだ声も
国境もヒトの脳内にのみある仮想現実世界のカタチ全部読む
わたしから離れていった言葉らを胸に刺せたら朝になるはず
加速してこぼれゆく水つかめずに2Gの中でかろうじて立つ
体温が心と同じ低さならあとは春まで眠るだけだね全部読む
体内を駆け続けている慟哭に戸をしたままで独りになろう
体内で時間が走り出したならピーター・パンになれないしるし
心など硝子の檻にこもりきり遠い現実さわれない土全部読む
大地へ降りていきましょう 天使ではないから 土を踏みたがる足
見失った地面を探す霧雨の深い都市をどこまで降りても
見上げれば青空に死が 摩天楼に閉じ込められて 涙する鳥全部読む
浮遊するイメージ
地団駄を踏んで私は破裂する 風よ吹け もう世界は亀裂だらけ
澄まされた休符を孕む旋律に休みからくるはじまりを知る
探索は哀しいほどに透明な試験管からはじまりました全部読む
噴水の水の匂いに洗われた肺の痛みに塵界を厭う
微風にも波立つ水面 映る影のかたちのように生きるぼくたち
天頂へ滑空する陽きらきらと裳裾が影をしめあげてゆく全部読む
飛び立つのだ 機械仕掛けの羽を背にみどりの斜面を駆け下りてゆく
しばられて鎖の重いこの脳はとろけてゆくの昼寝のはじまり
のびていく歓喜にあふれた並木道 五月の光に若葉は透けて全部読む
青空が悲しき夢を見る夜は静かな闇がどこまでもゆく
滝の音 無限に落つる響きにてわれの背中に羽が生え初む
雨が降り冷えを感じる夜なれば原始の地球の雨をもおもう全部読む
人ごみの中ゆえひとり感じている吐息の濃さと「あなた」の希薄さ
突き出たビルの頂で愛を歌うかぼそき声の天使の憎悪
わたくしも宇宙を砕く風である 道端の花を手折るのだから全部読む
引力の狭間に立つ道路標識 可能性の方角を示す
天空を仰ぐときのみひとり 地獄絵図より込み合う都市
星の核より湧くごとき和声に砕け散りゆく空色の重力全部読む
幻獣を連れた道化のまとうもの 星の生まれる気体X
夢幻などもういらない 溶けてゆく翼に隠れたる祈りと怖れ
空間の透き間に響くモードは湖面に燃え上がる水の気配全部読む
地球的魔法は水に溶け出して太古生命は海に織られた
透けるよう水に揺らいで空を見る光がわれを流れるようで
もしもとつぶやくたびに浄化される仮想世界に憧れている全部読む
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現在別のサイトで、あるゲームを題材に短歌を詠んでいます。
シリーズとして完成するまでは、ここでは発表しないので、興味を持っていただけた方は以下のリンクからどうぞ。
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