FLOATING IMAGES-短歌-かばん・2007年9月号

雨あがり

まっしろな蟹のぷくっと吹く泡になりてふゆふゆ天の引力
蒸発する水のからだの記憶とは返された盆 追ってくる谺
感傷は光のつぶとして撒いた雲間より伸べる腕(かいな)に似せて
こなゆきに対位旋律交じるときそらの高さが真空に消える
朝焼けと転調の喉持つ人は滅びの呪文をつかわないだけ
空を突く塔するどくてひっかかり淡くなれない苦しい雲だ
消えかかる虹が街路をもう少し照らせば樹脂化する雨あがり
うすあおのオブリガートの私にはさかまく空こそ眠るべき場所

8月号 | 10月号

同人誌「かばん」に
発表した作品です。

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