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タイムターナーと忍びの地図 バレリーさん (2004/11/8UP 8/5付メールのお話より)
         
 ところで、単純な疑問なのですが、タイムターナーを使ったハリー達は、「忍びの地図」に現れなかったのでしょうか。偽ムーディーや、スネイプが地図を見たときに、「ハリーが二人いる」ことに気がついていたら、その後の展開がややこしいですもんね。
RE:タイムターナーと忍びの地図 kmy
バレリーさん、気になるお話、ありがとうございます。タイムターナーを使った場合、使用者は二重、三重に同じ時間に存在するというややこしいことになりますが、そのあたりの設定はどうなっているのでしょうか。
再度確認してみました。(タイムターナー使用前のハリーはハリーA、タイムターナーで戻ったハリーはハリーB)

ハリーB、木の陰でハリーAを見る、そのあとバックビークを助け、暴れ柳付近の様子を見る。
ハリーAはハグリッドの小屋をあとにし、そのあとスキャバーズ逃げ出す。クルックシャンクス、黒犬シリウス近づく
ルーピン、忍びの地図をチェック。ハリーAが校庭を横切り、ハグリッドの小屋に入るのを見る、出てくるときにピーターを確認。シリウスが近づくのを確認。
スネイプ、忍びの地図で暴れ柳から叫びの屋敷に通じる通路を動くルーピンを確認。

 ルーピンやスネイプが忍びの地図を覗いた時に、タイムターナーで戻ったハリーとハーマイオニーは暴れ柳の見える場所にいたことになりますが、そのことは言及していません。特に、ルーピンはピーターとシリウスも確認しているのですから、忍びの地図にハリーBたちが浮き上がっているとすれば気づくと思います。また、スネイプが忍びの地図を見たときにハリーとハーマイオニーが暴れ柳の近くにいて、ルーピンが動くのをみたのを確認している可能性もありますが、スネイプ先生の見た地図には載っていなかったようにも感じられます。タイムターナーで時間を遡った場合には忍びの地図には現われないといっていいようにも感じます。

それにしても、タイムターナーという道具はまだ不可解な部分も含んでいて、わからないこともあります。時間の因果というのは本当に複雑なものなのだと感じさせます。現在と過去との因果関係はどうなのでしょう? 
 タイムターナーで戻った二人はバックビークを助けます。「シュッ、ドサッと紛れもない斧の音」(3巻 P428)は「シュッという音に続いて、ドサッと斧を振り下ろす音がした」(3巻 P526)の場面と同じことを表していて、最初はバックビークを逃がしたことを知らなかったので、癇癪を起こして振り下ろした斧の音が処刑の音に聞こえたのですが、実際はバックビークは助かっていたのでしょう。そのことをダンブルドアは承知してタイムターナーを使わせた(そしてそれが成功することを知っていた)と思えてきます。「……今夜、一つといわず、もっと罪なきものの命を救うことができるじゃろう」(3巻 P515)の台詞は、実はバックビークが助かったことを指していたのかもしれません。バックビークを救った上、それでシリウスが救えるかもしれない、という意味にも読み取れませんか? このように見ていくと、ハリーが言うように、「僕、できるとわかってたんだ。だって一度出したわけだから……」(ディメンターを追い払ったことについての台詞 3巻 P539)の言葉の通り、現在と過去はひとつにつながっていて、変わることはないように思えてくるのです。
 また、タイムターナーで過去に戻れば何でもできるということではないと思う場面がもう一つあります。「『呪文学』に行くのを忘れちゃった!」(3巻 P383)とハーマイオニーがマルフォイを殴った後の場面です。ここでは現在において呪文学には行かなかった、いないのをハリーやロンたちが確認しているという事実が存在していて、そういう場合に過去に戻って呪文学を受けるということはどうも不可能のようなのです。すでに「ありえないこと」が確定している場合にはタイムターナーで戻って授業を受けようとすることはできないのかもしれませんね。また、このハリー・ポッターの魔法界では利用規定に「現在に反する事実を故意に成し遂げる目的のためにタイムターナーを使用することはできません」とありそうな気もします。もし仮に過去へ戻ったとしても、授業には出れない何らかの原因ができて結局でれないのかもしれません。
 タイムターナーで過去に戻って何かを行なったとしても、現在の時点で辻褄が合うようにしか過去には介在できない、つまり、過去に起こったことはタイムターナーを使うべくして起こった事実であるということになります。タイムターナーを使ったからといって、都合のよい現在に変わることはないということになるように思います。タイムターナーを使ったからこそ、現在成立する事実が出来上がっているという場面になります。こうなると、タイムターナーは役に立つのか立たないのかわかりません。使ったらそれは「使った未来」として反復して現在が出来上がるということになります。今現在の時点でタイムターナーを使っているかどうかはわからないけれど、使った場合は使った現在が出来上がるのです。なんだかややこしいですね。まるであらかじめシリウスが助かることが決定していたように思えてしまいますが、そこまで運命が決まっているとは言い切れないのがこの物語のよくできているところではないかと思います。ダンブルドアはタイムターナーで戻ったハリーたちがバックビークを助けたであろうことは承知でも、この先シリウスが助かるかどうかは知らなかったということになります。未来は予測不能で決定されたものではないと現在の時点では感じられるのです。それにしても、決められた時間までの病棟に戻っていなかったら、どうなっていたのか気になります。この様子をダンブルドアの側から見ると、また面白いものです。バックビークが助かり、ディメンターをハリーが追い払い、シリウスを閉じ込めたことを知っているダンブルドアがハリーとハーマイオニーに「幸運を祈る」といった直後に「やりました!」って聞くのですよね。ああ、考えるほどに複雑で不思議。でもとても好きな場面には間違いありません。

 しかし、気になる発言がまだあります。「何人もの魔法使いが、ミスを犯して、過去や未来の自分自身を殺してしまったのよ」( 3巻 P522)この場合はどうなるのでしょう? 殺してしまうというのは本当に極端な話なのかもしれません。自分自身を殺してしまったらどうなるの? これだとせっかく頭を悩ませて考えてみた、現在と過去の関係が成り立たなくなってしまいます。過去の自分が未来の自分を殺してしまったら、その時点から自分はいなくなって死んだ自分に同化しちゃうのかも……でもそうなると未来の自分はいないんですよね。となると、過去の自分は未来の時点までは生きていて、過去に戻って戻った分だけ時間が経つと死んでしまうのかもしれないですね。未来の自分が過去の自分を殺したら、その時点で過去の自分に同化して死んでしまうのかもしれません。いずれにせよ、タイムターナーを使うときには慎重に。

 さて、タイムターナーの不可思議さにあたまがくらくらしていますが、もうひとつ。忍びの地図を偽ムーディが手に取る場面を改めて読み通してみました。わたし自身はハリーが地図上でスネイプの研究室にいるクラウチ氏を見たというので、当然父親のほうのクラウチ氏だと思っていましたが、後であれはクラウチJr.だったのだと伏線に驚いた場面です。偽ムーディことクラウチJr.は一目見て地図上に自分の名前が載っていることを確認して驚いたのでしょうね。だからこそ渡さなかったのであり、ずっと偽ムーディが持っていたのだと改めて感じました。そして、スネイプに対してクラウチJr.はどう思っていたのか、二人はどういう関係なのか、……そんなことまで考えてしまいました。